「香料が入っているから体に悪い」——そんな誤解が広まっています。しかし科学的事実は全く異なります。 フレーバーティーの歴史、アールグレイの起源、そして香料の正しい知識を、紅茶専門家が丁寧に解説します。
「香料が入っているから体に悪い」——インターネット上でよく見かけるこの言葉は、科学的根拠に乏しい誤解です。 食品に使用される香料は、天然・合成を問わず、日本の食品衛生法と食品安全委員会による厳格な審査を経ています。 まず、香料とは何か、そして天然香料と合成香料の本当の違いを正確に理解しましょう。
食品香料とは、食品に香りや風味を付与するために使用される物質の総称です。 日本では食品衛生法に基づく食品添加物として分類され、厚生労働省が安全性を評価した上で認可しています。 紅茶に使用される香料は、茶葉そのものが持つ香気成分を補完・強調するために使われます。
食品添加物として使用される香料は、食品安全委員会による科学的評価を受け、 「一日摂取許容量(ADI)」が設定されています。実際の食品からの摂取量は、 このADIを大幅に下回ることが厚生労働省の調査で確認されています。
— 厚生労働省「食品添加物」より

植物・動物・微生物など自然界に存在する原料から得られる香料。 水蒸気蒸留法、溶剤抽出法、圧搾法などの物理的・化学的手法で抽出・精製されます。
化学合成によって製造される香料。天然に存在する香気成分と同一の化学構造を持つものが多く、 「天然同一香料」と呼ばれるものも含まれます。
| 比較項目 | 🌱 天然香料 | ⚗️ 合成香料 |
|---|---|---|
| 原料 | 植物・動物・微生物など自然界の原料 | 石油化学原料や天然物を化学的に変換 |
| 製造方法 | 蒸留・抽出・圧搾などの物理化学的手法 | 化学合成反応(エステル化・酸化など) |
| 香りの特徴 | 複雑で奥行きがあり、自然な揺らぎがある | 均一でクリア、持続性が高い |
| 安全性 | 食品安全委員会の評価済み(ADI設定) | 食品安全委員会の評価済み(ADI設定) |
| 品質の安定性 | 収穫年・産地により変動する | 高い均一性・再現性 |
| 環境負荷 | 大量採取で植物資源に影響が出る場合も | 天然資源の消費を抑えられる場合も |
| アレルギーリスク | 原料植物由来の成分によるリスクあり | 特定の化学物質への感受性に依存 |
| コスト | 原料調達・精製コストが高い傾向 | 大量生産により比較的安価 |
「天然のものは安全で、合成のものは危険」という考え方は、毒性学の観点から正確ではありません。 天然香料にも毒性を持つ成分が含まれる場合があり、逆に多くの合成香料は天然に存在する成分と 化学的に同一の構造を持っています(天然同一香料)。
日本では、食品に使用できる香料は食品衛生法に基づき、食品安全委員会が科学的に安全性を評価し、消費者庁が認可したものに限られます。 使用量も「一日摂取許容量(ADI)」の範囲内に収まるよう管理されており、 通常の飲用の範囲で健康に悪影響を及ぼすことはありません。
茶葉と花・果物などの天然素材を一緒に保管し、茶葉に自然に香りを吸収させる伝統的な製法。 ジャスミン茶(茉莉花茶)が代表例で、中国・宋代(960年頃)から続く歴史ある技法です。 香料は添加されず、茶葉自体が香りを取り込みます。
天然または合成の香料を茶葉に噴霧・添加する現代的な製法。 1960年代以降に香料化学の発展とともにヨーロッパで普及しました。 アールグレイ(ベルガモット香料)が世界で最も有名なフレーバード・ティーです。
茶葉に香りを加える文化は、1,000年以上の歴史を持ちます。 中国の宮廷から英国の応接間へ、そして世界中のティーカップへ——フレーバーティーの旅を辿ります。
アールグレイは特定の茶葉の品種名ではなく、ベルガモット(Citrus bergamia)の香りをつけたフレーバーティーの名称です。 ベルガモットはイタリア・カラブリア州原産の柑橘類で、レモンとオレンジの中間のような爽やかな香りが特徴です。
ベースとなる茶葉はブランドによって異なり、セイロン(スリランカ)、ダージリン(インド)、アッサム(インド)、 中国茶など様々です。そのため、同じ「アールグレイ」でもブランドによって味わいが大きく異なります。
史実メモ:グレイ伯爵の逸話は広く知られていますが、近年の歴史研究では後世の創作である可能性が高いとされています。 史実として確認できるのは、1820年代のイギリスでベルガモットオイルを紅茶に加える手法が存在したこと、 そして1880年代頃に「アールグレイ」という商品名が定着したことです。 美しい逸話の裏に、こうした歴史的背景があることも、紅茶の奥深さの一つです。
— 参考:サラトナ「アールグレイ紅茶の本当の起源とは?」(saratna.com/earlgrey/)
| 項目 | 🌸 センティッド・ティー | 🧪 フレーバード・ティー |
|---|---|---|
| 香りの付け方 | 天然素材と茶葉を一緒に保管し自然吸収 | 香料(天然・合成)を茶葉に噴霧・添加 |
| 代表例 | ジャスミン茶、ローズティー(花びら入り) | アールグレイ、ストロベリーティー |
| 歴史 | 宋代(960年頃)から続く伝統的製法 | 1960年代以降に普及した現代的製法 |
| 原産地 | 主に中国・台湾 | 主にヨーロッパ・スリランカ |
| 香りの特性 | 自然で繊細、時間とともに変化する | 均一で安定、長期間持続する |
フレーバーティーの魅力を最大限に引き出すには、正しい淹れ方と保存方法が重要です。 香りの成分は繊細で、温度・時間・水質によって大きく変わります。 専門家が教える5つのステップと、4つのアレンジレシピをご紹介します。
保存の重要ポイント:フレーバーティーの香りは光・熱・湿気・他の匂いに非常に敏感です。 密閉容器(缶・ガラス瓶)に入れ、直射日光を避けた涼しい場所で保管してください。 冷蔵庫での保管は、取り出した際の結露で茶葉が湿気を吸うため推奨しません。 開封後は3〜6ヶ月以内に飲み切ることをお勧めします。
例:ストロベリー、ピーチ、マンゴー、レモン、ラズベリー
おすすめシーン:爽やかに楽しみたい時、アイスティーに最適
例:ローズ、ジャスミン、ラベンダー、エルダーフラワー
おすすめシーン:リラックスしたい時、アフタヌーンティーに最適
例:シナモン、カルダモン、ジンジャー、チャイブレンド
おすすめシーン:体を温めたい時、ミルクティーに最適
例:アールグレイ(ベルガモット)、レモン、オレンジ
おすすめシーン:定番を楽しみたい時、どんな場面にも
150年以上の歴史を持つ英国の紅茶ブランドと、スリランカ・インドから直輸入する日本の専門商社が手を携え、 本物の紅茶文化を日本にお届けしています。

1890年代にロンドンで創業した英国の伝統的紅茶ブランド。 英国王室御用達の格式を持ち、厳選されたシングルオリジン茶葉と 独自のブレンド技術で、世界中の紅茶愛好家に愛されています。 日本では株式会社サラトナが正規輸入代理店として販売。
スリランカ(セイロン)とインドから直接茶葉を輸入し、独自のブレンドと着香加工を行う紅茶専門商社。 産地直送の新鮮な茶葉を使用したオリジナルフレーバーティーは、 卸・小売・オンラインショップで展開。紅茶の専門知識と食品加工の技術を活かした 高品質な製品を提供しています。
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フレーバーティーと香料に関して、お客様からよくいただく質問にお答えします。